年金一元化による私学共済水準の引き下げを許さない

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2006年4月3日

日本私大教連中央執行委員会

 

はじめに

 年明けから、年金一元化問題の新聞報道等が増えています。私学共済事業本部にも共済組合員の方からの問い合わせが増えているとのことです。主に議論の対象になっているのは、厚生年金と国家公務員共済並びに地方公務員共済の年金一元化と掛け金率の問題です。私たちが加入している私学共済は、厚生年金と両公務員共済との一元化のあり方(結果)にほぼ連動するとされています。現在の議論状況から推測すると、年金給付引き下げと掛け金の引き上げ、福祉事業の廃止という私学共済組合員にとっては最悪の事態となりかねない様相です。日本私大教連は、年金格差を解消するための一元化方針は了解するとしても、現在の私学共済水準の引き下げには断固反対します。年金一元化は、低きに合わせるのではなく高きに合わせるべきです。

 

【拙速に決めるのではなく共済組合員と学校法人の要求も反映させた慎重な議論を要求する】

 小泉首相は昨年、官民格差解消を口実に被用者年金一元化について処理方針を取りまとめるよう指示し、2005103日「被用者年金制度の一元化等に関する関係省庁連絡会議」が設置され、またそれに先立ち与党年金制度改革協議会が同年83日に一元化にむけ「論点メモ」を、同年105日には「今後の主要論点」を示しました。こうした動きを背景に、被用者年金一元化にむけての議論は急速にすすみ、政府と与党が一体的、効率的に取り組むためとして2006116日、「被用者年金一元化等に関する政府・与党協議会」の第1回会合が持たれるまでになりました。

 この第1回会合で内閣官房長官は、4月末の連休前を目途に、被用者年金一元化の基本方針を閣議決定したい旨表明し議論の決着を要求していますが、29日の第2回会合では「被用者年金一元化についての検討・作業方針」が取りまとめられたばかりであり、重大な論点が依然として残されたままです。第3回会合は329日に開催されていますが、こうしたテンポで4月末の基本方針閣議決定は拙速に過ぎると言わざるを得ません。予定されている2007年通常国会への改正法案上程という既定の日程に拘泥することなく、直接影響を受ける共済組合員の声や要求、そして事業主である学校法人の要望を踏まえた慎重な議論を尽くすべきです。

 

【職域年金と福祉事業が危ない】

 とりわけ問題になっているのは、3階部分にあたる「職域年金」です。厚生年金には「職域年金」がありませんので、「職域年金廃止」が議論の俎上に載っています。329日開催の第3回「被用者年金一元化等に関する政府・与党協議会」では公務員共済の「職域年金廃止」方針が決定され、廃止後の代替措置は人事院で検討することとなりました。私学共済についても、あわせて検討することとされていますが、代替措置がつくられるのか予断を許しません。また既裁定者(すでに受給している退職者)とこれまで掛け金を支払ってきた現職者には、それに応じて支給する案が検討されていますが、世代間格差是正を名目に支給額の減額も懸念されているところです。

 現在私学共済には、年金と福祉事業などのための財源として2004年度末で32000億円の積立金があります。この積立金が年金の1階・2階部分の一元化のために、全額厚生年金との共通財源になってしまえば、3階部分(職域年金)を担保する資金がなくなってしまい、私学共済の職域年金は確実に崩壊します。同時に多くの組合員の方が利用している住宅資金融資などの福祉事業も崩壊します。またこの積立金は、学校法人が施設・設備の新規取得・更新する際の融資金になっていますので、学校法人の経営にとってもきわめて重大な事態になります。

 一元化にむけた議論では、この積立金の1階・2階部分と3階部分との仕分けをどうするかという議論になっており、場合によっては深刻な事態になりかねません。例えば、企業年金は社員の退職金を財源にしますが、私学は退職金財団が別組織になっていますので私学共済には財源がありません。したがって私学共済の3階部分として「あらたな仕組み(代替措置)」ができたとしても、現在の積立金から必要額が残らないと水準維持はもちろんのこと存続が危うくなり、まったく絵に描いた餅になってしまいます。このことは福祉事業にも当てはまります。財源がなくては、福祉事業も成り立ちません。

 

【掛け金の大幅な引上げが現実に】

 私学共済の掛け金は、「20013月閣議決定『公的年金制度の一元化の推進について』における“公的年金制度に係る共通部分についての費用負担の平準化を図る見地からの『保険料引上げの前倒し』”の趣旨に対応するために、2004年度財政再計算の結果に基づき、掛金率を毎年0.354%引き上げていくこと」が決まっています(平成17125日付全私学連合意見書)。私学共済はこの引き上げによって、安定して運営できる財政規模を確保し続けることができます。もともと私学共済としては、財政再計算に基づく掛け金率の引き上げ幅は、1階・2階部分の0.29%だけで十分安定して運営できるものでした。しかしこの閣議決定への対応で、3階部分を含めて0.354%の引き上げとしたものです。

 この引き上げは、厚生年金の掛金率の上限である18.3%と同率になるまで、毎年続きます。厚生年金は2017年(平成29年)に上限の18.3%に到達します。私学共済が18.3%に到達するのは2027年(平成39年)です。問題なのは前項にふれた3階部分の「職域年金」が廃止され、仮に「あらたな仕組み(代替措置)」がつくられなくても、この3階部分を含んだ0.354%の引き上げは2027年(平成39年)まで続くということです。どうにも納得しがたい掛け金率の引き上げなのです。

 なお両公務員共済は2010年(平成22年)に掛け金率を13.8%と統一した上で、2018年(平成30年)に厚生年金の上限18.3%と統一させることが、ほぼ確認されたようです(329日開催の第3回「被用者年金一元化等に関する政府・与党協議会」)。

 

【私たちの要求】

 日本私大教連の要求を、簡潔にまとめると以下のようになります。

  @職域年金(3階部分)は、現行制度と水準を絶対に維持すること

  A積立金は、職域年金と福祉事業が現行水準で維持できるように仕分けること

  B掛け金率は、すでに決まっている0.354%以上の引き上げは絶対しないこと

  C拙速に結論を急がず、共済組合員と学校法人の要求・要望を反映させ慎重に議論すること

 この4点は、共済組合員である私学教職員の共通した要求になっています。

 日本私大教連は、政府・与党協議会に対し、広く対象者の声・要求に耳を傾けるよう要求するものです。