◆◇ 決 議 ◇◆
 

教育基本法「改正」法案の採決強行に抗議し、同法案の廃案を求める

 

 20061115日、与党は衆議院教育基本法特別委員会で、翌16日には同本会議で野党欠席のまま教育基本法「改正」法案の採決を強行し、参議院に送致しました。これを受けた参議院は17日、採決強行に抗議する野党四党が欠席している本会議で趣旨説明・質疑を行なって特別委員会の設置を決め、21日にも同委で審議入りする流れがつくられています。「廃案」を求める声のみならず「慎重審議」を求める各界・各層からの声をも無視した政府・与党のこれら一連の動向は民主主義の根幹を揺るがす暴挙であり、加えて現行教育基本法が日本国憲法と一体の準憲法的基本法であることを考えれば、ここに示された政府・与党の一連の行為は主権者である国民を愚弄しているものだと言わなければなりません。私たちはこのような軽挙・暴挙を断じて許しません。

 先の通常国会、そして今期臨時国会の審議を通じて、教育基本法を「改正」しなければならない理由は依然として明確にされておらず、厳密な逐条審議もおこなわれていないのが実情です。また、この間顕在化している「いじめ問題」「必修科目未履修問題」「タウンミーティングやらせ質問問題」等々、教育基本法「改正」に直接関わる諸問題についても本質的な質疑はいまだなされていません。噴出する「教育問題」の要因が教育基本法そのものにあるのではなく、教育基本法をないがしろにし、教育の場に市場原理・競争原理を導きいれてきた「新自由主義教育改革」の結果であることは火を見るより明らかなことです。このような動向は「大学の自治」「学問の自由」を奪い、高等教育を経済政策・国策に従属させようとする「大学版構造改革」として私たちをも侵襲しています。こうした教育・教育基本法に関わる本質的論議を回避し、教育基本法「改正」法案を何が何でも今期臨時国会で成立させようとする政府・与党の思惑は、「戦後レジームからの脱却」をスローガンに掲げ「新憲法制定」を明言し、「戦争に対する正しい認識を欠いたまま戦争できる国を目指している」06.10.29「東京新聞」社説)安倍晋三首相の「美しい国」づくりと不即不離のものです。「愛国心」をはじめとする20の徳目を教育の目標として明文化し、新自由主義的市場原理・競争原理をなお一層持ち込んで教育格差を助長し、さらには「教育振興基本計画」などによって教育内容への権力介入を可能にする教育基本法「改正」法案が、やがては「新憲法制定」と結びついて「戦争国家」に唯々諾々とつき従う「国民づくり」を目論むものであることは、政府・与党がこの間示してきた民主主義の根幹を揺るがすさまざまな手法に明らかです。

 私たちはこれまで日本国憲法・教育基本法に則った「国民のための大学づくり」を進めてきました。そして、この夏、第17回全国私立大学教育研究集会の場であらためて「大学版構造改革」に抗して「〈真理と平和の拠点〉としての大学づくり運動へ」進み出ることを決意しました。「〈真理と平和の拠点〉としての大学」という私たちの目指す大学のあり方が教育基本法前文に根差していることは言うまでもありません。今、私たちはこの決意を新たにし、あらためて衆議院特別委員会・本会議の採決強行に抗議するとともに、参議院での審議で教育基本法「改正」法案の問題性を徹底的に明らかにすることを求め、加えて、意を同じくする多くの人びと、市民運動団体、労働組合等々の人びととの幅広い共同の取組みを進めて同法案を廃案とする決意を表明します。

 

以上、決議する。

 

 20061119

 

日本私立大学教職員組合連合(日本私大教連)第19回定期大会