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声明 奨学金制度の大幅な改悪に断固反対する
2007年12月16日 日本私大教連中央執行委員会
1.奨学金制度はいま、政府が進めている「独立行政法人整理合理化計画」(以下、「合理化計画」)の策定をめぐり、存廃の危機に直面させられています。 政府は、「骨太方針2007」に基づき、101の独立行政法人について「官から民へ」を前提とした「徹底的な縮減」、国庫支出の大幅削減を柱とする「合理化計画の策定に係る基本方針」を閣議決定し(07年8月10日)、年内の計画策定に向けた動きを強めています。奨学金事業を担っている日本学生支援機構(以下、機構)もこの「整理合理化」の対象に組み込まれています。
2.「合理化計画」策定を進めている行政改革推進本部は、機構の「整理合理化」案として、@学生に直接資金を貸与する事業を、民間金融機関または国民生活金融公庫に移管する、A機構の事業は、民間金融機関に対する債務保証・利子補給に移行する、という方向を打ち出しています。これらは、経済同友会の「合理化計画」策定に向けた「提言」(07年10月30日)に盛り込まれた主張と合致するものであり、大規模な市場をノーリスクで民間企業の手中にしようという財界の要求を見事に反映させたものに他なりません。 またこの間、経済財政諮問会議などの政府系会議において、「有利子奨学金の3%金利上限の撤廃」、「就学中の金利賦課免除の廃止」「奨学金の証券化」「無利子奨学金の廃止」など、奨学金制度の意義を顧みずこれを破壊しようとする乱暴な議論が盛んに行われていること、さらに財政制度等審議会の来年度予算に関する「建議」が、金利上限と就学中金利免除の見直しを先取り的に盛り込んだことを、私たちは断固糾弾するものです。 一方、こうした圧力に対して文部科学省が、教育政策の観点からも、経済合理性の観点からも奨学金貸与事業の民間移管は適切ではないとして、反対する立場を示していることは当然です。しかし同省が譲歩して、「整理合理化案」に「3%貸付上限金利の見直し」を掲げたことに対しては、有利子奨学金の本来の趣旨を自らなし崩すものであり、厳しく批判せざるを得ません。
3.給費制奨学金をもたない我が国の奨学金制度は、国際的常識からすれば「教育ローン」であり、それが果たしている役割は、当面の学費負担を先送りすることで何とか就学機会を損なわずにすむという意味において、教育の機会均等確保の上で最低限度のものです。しかし、世界的にも異常な高学費により家計負担は限界に達し、また雇用の不安定化が進行し将来不安が拡大する中で、将来の返済負担の過重さに「教育ローン」奨学金の利用を躊躇せざるを得ない現実が表れています。 いま政府がなすべきことは、有利子中心の現行制度を無利子中心に転換するなどその不十分な面を改善し、また欧米諸国のほとんどが有している給費制奨学金を我が国においても創設するなど、教育の機会均等確保の名にふさわしくその抜本的拡充を図ることです。 言うまでもなく、教育の機会均等保障は、憲法の要請による政府・行政の義務であり、それを「行政減量」の号令によって放棄するなど到底許されることではありません。また現行制度は、日本育英会の時代から長年にわたり、多額の税金と大学関係者の多大な協力によって構築してきた、いわば国民の貴重な財産です。それを安易に民間企業に売り払うごとき「整理合理化」案は国民に対する背任に等しいものであり、到底容認できるものではありません。 私たちは現行奨学金制度のいかなる改悪にも反対し、その抜本的拡充を強く要求します。
以上 |