教育基本法改正案の廃案を求める緊急連名アピール


私たち教職員組合は下記の趣旨から、教育基本法「改正」案を廃案とすることを強く求めます。

浅井学園大学教職員組合執行委員会

法政大学教職員組合多摩支部委員会

札幌大学教職員組合執行委員会

法政大学教職員組合小金井支部委員会

札幌学院大学教職員組合執行委員会

法政大学教職員組合一中高支部委員会

北星学園大学教職員組合執行委員会

法政大学教職員組合二中高支部委員会

北海学園大学教職員組合執行委員会

明治大学教職員組合

酪農学園職員組合執行委員会

山村学園短期大学教職員組合

桜美林学園教職員組合

立教大学教職員組合

学校法人神奈川歯科大学教職員組合

和光大学教職員組合執行委員会

関東学園教職員組合

早稲田大学教員組合執行委員会

杏林学園教職員労働組合

早稲田大学職員組合執行委員会

国立音楽大学附属図書館職員労働組合執行委員会

愛知大学教職員組合

慶應義塾労働組合四ッ谷支部

愛知工業大学教職員組合執行委員会

相模女子大学教職員組合執行委員会

大同工業大学教職員組合執行委員会

作新学院大学教職員組合執行委員会

鈴鹿医療科学大学教職員組合

湘南工科大学教職員組合

中京女子大学教職員組合執行委員会

城西大学教職員組合執行委員会

中京大学教職員組合

信州短大教職員組合

中日本自動車短期大学教職員組合

大東文化大学教職員組合組合

名古屋芸術大学教職員組合

拓殖大学教職員組合執行委員会

日本福祉大学教職員組合執行委員会

中央大学教員組合

名城大学教職員組合執行委員会

筑波学院大学教員組合執行委員会

京都産業大学教職員労働組合

東京家政学院教職員組合連合執行委員会

同志社大学教職員組合

東京家政学院大学教員組合執行委員会

同志社連合教職員組合

東京家政学院大学職員組合執行委員会

立命館大学教職員組合

東京家政学院短期大学教員組合執行委員会

龍谷大学教職員組合

東京家政学院中高等学校教員組合執行委員会

大阪経済法科大学教職員組合

東京経済大学教職員組合

大阪芸術大学教職員組合

東京女子大学教職員組合第26期執行委員会

大阪夕陽丘学園短期大学教職員組合

東京地区私立大学教職員組合連合秀明大学分会

大阪電気通信大学教職員組合

東京立正女子短期大学教職員組合

関西医科大学労働組合

東邦大学教職員組合

関西外国語大学教員組合

獨協大学教職員組合執行委員会

関西外国語大学教職員組合

二松学舎大学教職員組合執行委員会

関西圏大学非常勤講師組合

法政大学教職員組合中央委員会

近畿大学教職員組合

法政大学教職員組合市ヶ谷支部委員会

九州共立大学教職員組合執行委員会

梅花学園教職員組合

近畿大学九州教職員組合

明浄熊取教職員組合

久留米大学教職員組合

高野山大学職員組合

東亜大学学園教職員組合執行委員会

高梁学園教職員組合執行委員会

全福原学園教職員組合

広島国際学院大学教職員組合執行委員会

長崎総合科学大学教職員組合

 

 計 80 組合 (1120日現在)

 

1.本年428日、政府が国会に提出した「教育基本法案」は、524日から「教育基本法に関する特別委員会」(以下、特別委)において実質的な審議にかけられたものの、同法案の重大性が明らかになるにつれ急速に広がった反対運動と世論により、衆議院を通過できないまま国会会期末を迎え、615日の特別委において継続審議となった。

 

2.政府案のもつ重大な問題点を改めて要約すれば、第1に、現行教育基本法の重要な理念である、教育の有する本来の公共性と自主性、国民に対する直接責任性を否定し、教育への国家的・権力的統制を正当化するものであること。第2に、「愛国心」に代表される徳目主義的な教育目標を法定化し、国公私、学校内外の別なく、あらゆる教育の領域と場面においてこれを強制するものであること。第3に、国家的統制の下、“計画・実施・評価・評価に基づく財政配分”サイクルを軸に、競争と格差拡大、選別・淘汰をさらに激化させる教育「改革」を法により正当化・固定化することである。

 これらは現行法の理念・性質を根本的に転換するだけでなく、憲法の精神に反するものであり、断じて容認できるものではない。このような法案を提出すること自体、その責任が厳に追及されるべきである。

 なお、改正案第7条には大学条項が新設されたが、大学も道徳主義的な教育目標を実行する義務を負わされるとともに、「教育振興基本計画」を軸とする教育行政の統制下に置かれることが明確である。さらには、第7条で「社会の発展に寄与する」ことが目的として明示されたことで、政府による短期的かつ偏向した経済政策へ大学の教育研究活動を動員する施策がいっそう強化されることになろう。教育基本法改正によって、学問の自由と大学の自治が根底から破壊されることは明白であり、この点からも私たちは改正案を断じて認めることはできない。

 

3.先の国会での法案審議における最大の問題は、教育基本法をなぜいま全面的に改正しなければならないのか、その理由がまったく明らかにならなかったことである。特別委の前半における論戦の焦点は当然に改正理由に当てられたが、法案立案過程において教育基本法改正推進派がしきりに喧伝していた、さまざまな教育問題・社会問題があたかも教育基本法に起因するかのような議論は完全に鳴りを潜め、政府・文科省は、「教育をめぐる諸情勢の変化の中で教育の根本にさかのぼった改革が求められている」といった極めて抽象的な「公式答弁」を繰り返すばかりで、より具体的・説得的な説明はまったくなされなかった。また多くの委員が、実質的に法案を立案した与党検討会における議論内容の公開を迫ったが、政府は結局これに応じようとはしなかった。

 こうした状況はむしろ、政府が改正理由の本質的な部分を隠蔽しているのではないかとの疑念を深めさせるものである。教育基本法という重要な法律を、不明確な理由で改正するなど到底許されることではない。

 

4.また審議の際立った特徴として、自民、民主の改正推進派により「GHQによって抑圧された日本の伝統の復活」のための改正という主張が競うように展開されたことが挙げられる。すなわち、「GHQの強制によって、(中略)日本人の精神的バックボーンが抜け落ちていたことを、おくればせながら修正しようという点にある」、「教育基本法の改正は、憲法の改正と並んで、戦後体制のゆがみを是正して、失われた日本の伝統と美徳を取り戻す、そういった改正でなければならない」などといった発言が繰り返された。これらに対し、小坂文科大臣、安倍官房長官(当時)ら閣僚、政府参考人らは、こうした主張を正面から承認する答弁はさすがに行わなかったものの、「昔の日本の伝統・美徳を取り戻す」必要については積極的に共感するとの答弁を繰り返した。

 審議のこうした状況は、結果として、教育基本法「改正」の目的における、現行憲法を敵視する国家主義的側面を浮き彫りにするものである。すなわち、日本国憲法が謳う「理想」の実現を「教育の力にまつ」とした現行教育基本法が内在させている準憲法的性格を、今次改正により解体し抹消することを企図していることは明白である。そもそも、これら戦後憲法・教育基本法体制の否定、戦前の道徳的価値の復権は、一部勢力の政治的要求でしかなく、教育の営みの内から発した要請に立脚した議論では決してないのであって、まさしく教育への「不当な支配」以外の何ものでもない。

 

5.安倍新首相は、総裁選挙にむけた「政権の基本的方向」において、臨時国会で教育基本法を改正することを前提とし、「教育の抜本的改革」「『百年の計』の教育再生スタート」を掲げ、教員免許の更新制など改革を反発があっても推進すると決意表明し、「教育バウチャー制度」の導入や、大学の入学時期を9月にずらしてその間を奉仕活動に充てるなど細かな具体案まで提唱した。そして首相就任後早々に、首相直属の諮問会議として「教育再生会議」を新設することを決定した。安倍首相は先の特別委に官房長官としてほとんど出席し、その審議状況が極めて不十分であることを把握していながら、また東大基礎学力開発研究センターが行った調査で、公立小中高の校長66.1%が政府案に反対しているなど、広範に広がる改正反対の声、改正の必要に対する疑問の声を無視して、教育基本法改正を前提とした施策を強権的に推進する姿勢を示していることを、私たちは強く批判するものである。

 

6.東京地方裁判所は921日、国歌斉唱義務不存在確認等訴訟において、東京都が教職員に「日の丸・君が代」を強制した通達等について、思想・良心の自由を侵害し、教育行政による教育の「不当な支配」に当たるものとして違憲・違法と断じる極めて正当かつ明確な判決を下した。この判決は、政府が特別委で繰り返した、愛国心を態度として教育目標に入れることは内心の自由の侵害にならない、法に定めるところによれば何をしても「不当な支配」に当たらないとする答弁をも否定するものである。

 

 日本私大教連に加盟する私たち教職員組合は、国会において、前通常国会での審議経過、広範な国民世論、そして上記判決を踏まえ、政府案のもつ問題性を徹底的に明らかにし、これを廃案とすることをあらためて強く求めるものである。

以上